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    アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/06/07 重 篤郎
    森山裕自民党幹事長がすべてに答える 消費税政局とコメ高騰問題
    財務省と農政の守護神
     消費税減税は社会保障を破壊すると批判する森山裕自民党幹事長が、本誌・倉重篤郎の独占インタビューに応じ、経済政策とコメ問題の核心を語った。対して、財源ある積極財政を主張する山添拓共産党政策委員長、さらに、政治状況を見透す山崎拓元自民党副総裁にも訊き、政局の全体像を描き出す―。
    消費税減税は社会保障への打撃、国債の信認にも関わる/備蓄米は2160円可能 将来的には大規模化でコスト減を図る/参院選に政治生命を賭ける
    物価高対策は総合的に実施、給付金の選択肢も/連立拡大「一緒にやってくれるところあれば」
     この政局、一人の男に注目したい。
     森山裕自民党幹事長だ。物価高対策として野党が消費税減税で足並みを揃(そろ)えたのに対し、いち早く減税せずの腹を固め、これだけは譲れないとばかりに、仁王の如(ごと)く睨(にら)みを利かせている。自民党参院議員や連立相手の公明党になお減税にこだわる声もあるが、これを一顧だにもしない。
     6月1日号でも指摘したが、消費税負担増の可否を争点にした選挙では、時の政権が常に不利な戦いを迫られてきたのがこの間の日本政治である。大平正芳、中曽根康弘、竹下登、細川護熙政権など消費税で息の根を止められた政権多数、まさに死屍累々(ししるいるい)の政策テーマであった。だが、森山氏はこの参院選の争点を自ら「消費税」と正面に据え、「政治生命を賭ける」とも豪語する。その勝算あるやなしや。なぜそこまでに。
     農政族のドンとして、コメ高問題のキーパーソンでもある。小泉進次郎農相による随意契約方式で果たして約束通り5キロ2160円で備蓄米が買えるのか。生産にかかる費用と消費者の求める価格の逆ザヤを根本的にどう解消していくのか、についても聞きたい。
     何よりも参院選後の政局がどうなるか。当年取って80歳。遅咲きの森山氏の本領は、自民党国対委員長時代に築き上げた野党枢軸との人脈であり、選対委員長時代に苦労してまとめ上げた「衆院定数10増10減」作業から得た選挙区事情・実務への精通だ。潜在力を修羅場でどう使うのか。
    与野党を超えて財政危機に対処すべき
     維新とは先の本予算成立で、国民民主党とは昨年の補正予算成立で、立憲民主党とは年金法案を巡る基礎年金底上げ修正で、それぞれに合意している。この実績が連立拡大の自由度を上げ、結果的に石破茂少数与党政権の安定度に寄与しているのも確かであろう。野党分断を利用したなかなかの策士ぶりでもある。内閣不信任案が可決でもされれば、ダブル選挙に打って出る腹も見受けられる。
     この稿では、消費税・コメ・都議選・参院選政局をどう乗り切っていくのか。与党の最高軍師に問う。それとは別に、野党を代表する形で山添拓共産党政策委員長に消費減税と自民党打倒の論理を、政権応援団で森山氏とも親しい山崎拓元自民党副総裁に全体の見立てを聞き、政局を立体化する。まずは森山氏である。
     消費税政局どう見る?
    「野党は野党としてのお立場がある。ただ、なぜ消費税率が10%になったかを今一度振り返ってもらいたい。2012年民主党政権時代に、野田佳彦首相が『社会保障と税の一体改革』を唱え、野党であった自民、公明が賛成して5%から二度にわたり10%まで引き上げることに合意した。背景には深刻な財政危機があり、与野党を超えて国家の問題として対処した。野田首相も大変ご苦労されたが、自民党の谷垣禎一総裁も偉かった。まずはこの原点を忘れるべきではない」
    「次に、消費税は現に社会保障目的税として機能している。基礎年金の半分を占める財源だし、低年金者への年間最大6万5000円の給付金もそうだ。公的医療保険、介護保険の国・地方の負担分や、難病の方々の医療費もここで賄われている。児童手当、待機児童対策、保育所運営費にも使われており、年金、医療、介護、子育て4経費が47兆9000億円、消費税収が28兆3000億円だからまだ20兆円近く足りないのが現状だ。減税は社会保障制度の十全な運用への打撃になる」
    物価高対策の重要性は重々承知だ
     参院自民はなお期待?
    「選挙を目前にするとどうしてもそういう気持ちになるが、そこはやはり乗り越えてほしい。消費税は日本の社会保障制度を支える根幹的な税で、与党と野党第1党が責任を持つことが本当に大事なことだと思う」
     石破首相も減税に傾いたがあなたが説き伏せたと?
    「いや、それは全くない。総理は総理で財政のことを非常に深刻に考えておられた。人の意見をよく聞く方なのでそうとられた人がおられるかもしれないが、私が話す限りでは消費税減税は影響は大きすぎると言っていた。(ぶれてない?)ぶれていません」
     高市早苗氏がX(旧ツイッター)投稿で消費減税を擁護、日本は国際経常収支が黒字なのでトラスショック(2022年トラス英首相の大規模減税案に市場が混乱、1カ月で首相退陣に追い込まれた事例)はありえない、と言っている。
    「そう簡単な話ではない、と私は思っている。先日も日経新聞で、世界最大級のヘッジファンド創業者が『日本では新規国債の発行量が多大になり、利上げの下ではすでに買い手がなくなりつつある。トラスショックのミニ版を見ているようだ』と語っている。与党として責任ある立場で、へんなアナウンスをしたら国債の信認に関わってくる。そこは気をつけなければいけない。トランプさんも関税政策の発動で米国債が売却されたことで、相互関税の90日間停止を発表した。それだけ重たいものだと思っている」
     「財務省の守護神」と呼ばれているが?
    「財務省の政務官、副大臣はやりました。財務省という役所は一回務めると、ずっとお付き合いが続く文化があるのも事実だ」
     政治生命賭けるとは?
    「それくらい大事なことだと思っている、今ここで間違ってはいけないんだと強く思っている。野田首相が一体改革を実現した時も、安倍晋三首相が10%まで2段階で上げた時も政治生命を賭けてきた。私の師匠で…



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