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アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/08/21 重 篤郎
倉重篤郎のニュース最前線 私、石破首相の味方です 自民党の右傾化を阻止せよ
参院選大敗の原因は「裏金」だ 世論次第で石破政権はパワーを持ち得る
永田町の論理と自民党の宿痾が石破茂首相を排斥しようとすればするほど、石破首相は本来の政治姿勢、歴史意識、平和観を打ち出し、それが国民の支持に結びつき始めている。首相の進退が民主主義の本質に関わるという稀な事態を、4人の論者とともに倉重篤郎が掘り下げる。
石破茂首相進退政局は、粘る石破氏と退陣を迫る勢力との綱引きがなお続いている。いずれも決定打がないまま、膠着(こうちゃく)状態に入っているが、月末に予定されている参院選敗北の党総括の中身がどうなるか。それをうけて森山裕幹事長が自らの進退をどう決するかが一つのヤマになるだろう。
仮に森山氏が辞任すれば、政権は苦しい政局運営となる。党内の抑えや野党との交渉など、森山氏におんぶに抱っこしてきたところが多々あるからだ。実際に石破氏が「森山氏なくしては政権が立ち行かない」と嘆息をついた場面を目撃したこともある。ただ、森山氏の辞任が石破退陣に直結するかはまた別であろう。
というのも石破政権とは、世論が作り出した政権であるからだ。総裁選に4度も負け、派閥も子分も雲散霧消した石破氏がなぜ5度目の正直で総裁の椅子を掴(つか)んだか。それは裏金事件で自民党が解体的危機に陥る中、石破氏が党の顔になれば、世論の逆風が緩和、自分たちが選挙で上がってこれる確率が高くなる、との自民党国会議員総体の見立てがあったからである。だが、昨年10月の衆院選、7月の参院選でいずれも過半数割れで、裏切られた気分が議員に横溢(おういつ)、それが石破おろしを加速させている。
ただ、石破氏だからあの程度の敗北で済んだとは総括できないか。石破氏だからまた支持率が回復する、とも。その二つが正しいなら、まだ石破氏は自民党の救世主たり得る。支持率が上がり世論が石破擁護に向かうと、自民党内の空気も野党の対応も変わるからだ。永田町の力学ではなく、世論の支持を基盤に政権を獲得した石破氏は、また世論の支持回復により政権維持が可能になるのだ。
つまり、今後の政局は世論次第だというのが、我が見立てである。そこを最も理解しているのは石破氏本人だろう。実際に世論はじわり動き始めている。官邸周辺で「石破辞めるなデモ」が数百人規模で3回行われた。自然発生的な集まりだろう。NHK世論調査(8月9~11日)によると、内閣支持率は38%と7月より7ポイント上昇、不支持率は8ポイント下がって45%だった。
自民党内の石破おろしと世論の石破擁護が今後どんな綱引きを展開するのか。それによって党内の石破おろしの力学がどう変化するのか、しないのかが政局の肝だ。
かつて村松友視氏はその著『私、プロレスの味方です』で、プロレスという格闘エンタメにひそむ虚実皮膜の凄味(すごみ)を称揚、「味方」として魅力を語った。ならば今、本欄は、石破氏という自民党少数派の異端首相の「味方」となろう。
現状では自民党国会議員の半数近くが石破退陣、3割が石破擁護、2割がどっちつかずと言われる。この際、3割の少数派に耳を傾けたい。知性派の代表・船田元衆院議員、武闘派の代表・鈴木宗男参院議員に語っていただく。…
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