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アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/12/06 倉重 篤郎
高市「積極財政」は「死に至る病」である 原真人、藤巻健史、山本謙三が全面批判 倉重篤郎のニュース最前線
日本経済を歪め、国民生活に展望のない貧困を強いたアベノミクスを、高市政権は継承するという。「責任ある積極財政」を標榜するこの路線、実は日本を死に至らせるのではと案じる倉重篤郎が、原真人、藤巻健史、山本謙三の3氏とともに厳重に警告する―。
▼「物価高対策が却ってインフレ加速、逆噴射だ」 ▼「信認喪失、ハイパーインフレも」 ▼「日銀は国民生活擁護の原点に戻れ」
高市早苗政権の財政・金融政策である。「責任ある積極財政」とはいうものの、財政節度を無視した積極財政、金融ジャブジャブのリフレ志向、17分野での重点投資という成長戦略と、この三本柱は安倍晋三政権以来この10年間続いたアベノミクスとほぼ同じではないか。安倍氏が首相の人事権を使って、政策遂行のコアとした日本銀行執行部の総裁以下9人のメンバーを次々にリフレ派に切り替えたのと同じ手法で高市氏もまた、自らの政権の経済政策立案マシンである経済財政諮問会議、日本成長戦略会議の4人のエコノミストを皆リフレ派で固めた。
アベノミクスが成功した政策である、というきちんとした総括があるわけでもない。自民党や政府部内でしっかりした検証も行われていない。むしろ、負の遺産が顕在化している。にもかかわらず、安倍継承だと言う。納得できない。
その最大は、物価と通貨の番人である中央銀行(日銀)をスポイル(駄目に)したことである。国債を日銀がほぼ無制限に買い取る異次元金融緩和政策を11年間(2013―24年)続けた結果、国の借金が異様に膨らみ、かつ日銀が過大な保有国債を背負わされたことで、利上げ(=国債価格低下)が、財政利払い急増と日銀財務悪化に直結するといういびつな構造が生まれ、金融政策の自由が利かなくなった。
日銀機能が片肺化し、物価高・通貨安対応ができない。インフレがすでに4年目に入っているのに、円がこれだけ安くなっているのに、世界の中央銀行が皆やっている金融引き締め策(利上げ)を日銀が取れないのも、そこに理由がある。
日本経済もスポイルした。禁じ手の解禁による円安、株高が輸出製造企業や投資家を喜ばせ、自らの政権は支持率アップの裨益(ひえき)を受けたが、後世にはそれを上回る負の副産物を残した。
実は経済全体も成長しなかった。名目GDPを見ると、円ベースではこの10年で500兆円から600兆円となったが、ドルベースに換算す…
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