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    アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2026/03/09 倉重 篤郎
    倉重篤郎のニュース最前線 志位和夫・共産党中央委員会議長が「激動政局」注視 「高市圧勝」はミスリードだ
    93年下野選挙と同じ得票率
     「高市11」下の政治状況を本欄は考察してきたが、そもそも「圧勝」はミスリードであり、解散権の不当行使をこそ問題にすべきだと志位和夫共産党中央委員会議長は言う。左派からの対抗軸という課題、資本主義の限界状況への洞察も含め、独自の政局論が光る独占インタビュー。
    「クーデター解散」の違憲性を問え/新たな左派市民共闘を
     我々はどこかで何かを間違えていないだろうか。
     今回の一連の解散・総選挙政局である。二つのことが気になっている。
     一つは、高市早苗首相の奇襲解散について、してやられたりという心性である。時の首相が自分の都合のいい時に行使できる恣意(しい)的な解散権を「伝家の宝刀」と持ち上げ、「首相の専権事項」などと聖域視してきた点である。政治家のスキャンダルがあったり、政策的な失点があったりした時にも、社説で「(国会を解散して)民意を問え」と吼(ほ)え続けてもきた。果たしてそれで良かったのか。
     というのも、これらの主張は、憲法7条を根拠にしているからだ。日本国憲法7条は、大日本帝国憲法下の「統治権の総攬(そうらん)者」から「日本国の象徴」となった天皇の新たな権能、仕事について、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行うことと定め、その国事行為とは何かを、「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること」から「儀式を行うこと」まで10項目列挙している。確かに、その三つ目に「衆院を解散すること」とあるが、文脈からすると、天皇が解散詔書に署名、印章を押すといった形式的な手続きを謳(うた)ったものに過ぎず、国民から選ばれた全衆院議員の首を一刀のもとに斬り落とす首相の大権の根拠を記したくだりとはとても読めない。
     本来の解散権は、憲法69条にある。ここでは、「内閣の不信任案の可決」ないしは「信任案の否決」の場合の内閣の選択肢として、総辞職か衆院解散の二択を迫っている。自分がやめるか、議会を斬るか、のギリギリの局面での発動を想定している。解散権は、そもそも議院内閣制に内在するもので、国民が選んだ国会という直接民意と、その国会が首班指名で選んだ行政権の長(首相)という間接民意の間で、抜き差しならぬ重大な対立が生じ、国政が立ち行かなくなった時に、国会議員をゼロから選び直すことで、国民の直近の民意を国会に反映させ、その新しい構成、知恵の付与により、対立関係を乗り越えようという合理的システムなのである。
     つまり、普通に憲法を読み、議院内閣制という仕組みからすると、69条解散が正道であり、7条解散は邪道としか言いようがないのだが、メディアを中心に我々国民はその邪道を許してきた。その結果、戦後行われた衆院解散27回のうち69条解散は4回だけで、23回は7条解散だ。それは安倍晋三首相の消費税を増税しなくてもいいかどうかを問う選挙(2014年)、同じく北朝鮮のミサイル発射実験という国難を克服する選挙(17年)という奇妙奇天烈(きてれつ)解散を経て、自身が総理でいいかどうかを問う、大義も何もない高市解散に至ることになった。
     欧州の同じ議院内閣制国家ではいち早く解散権制限に乗り出している。ドイツ連邦議会選挙は、後任の首相を選出しなければ、現首相に対して不信任案を出すことができない(基本法67条)としており、任期満了選挙がもっぱらだ。英国でも、4年前までは、11年成立の「議会任期固定法」で総選挙の期日を5年ごとにすると定めた。日本でも、かつては7条解散の違憲性を問う訴訟があり、自民党内にも7条解散の乱用を戒める声があった。今またその議論を復活させるべきではないのか。
    解散は総理専権事項としたメディア
     二つに、我々メディアは、今回の選挙結果を「高市圧勝」という大見出しで飾ってきたが、それは正しかったかどうかである。
     確かに、議席数で言えば、自民単独で316議席、さらに比例の名簿不足で他党に譲った14議席分を足した330議席は圧巻ではある。ただ、政党の真の実力を表すと言われる比例区の得票率、得票総数から見るとまた違った景色が見える。得票率で言うと、有効投票総数が分母になる相対得票率では36・7%、3人に11人が、有権者総数を分母にした絶対得票率では20・37%と5人に1人が自民党に投票したに過ぎない。絶対得票率で言えば小泉純一郎政権の郵政解散の25・12%にもかなわない。
     得票総数は、自民党2102万票に対し、中道改革連合は1048万票だったが、自民党の半分の票を取ったにもかかわらず、議席に換算されると、自民が316議席(譲った分を加えると330議席)、中道が49議席(譲られた部分を引くと42議席)と8倍近い差になっている。要は、小選挙区比例代表並立制という選挙制度が持つ小選挙区部分の民意増幅機能が作用した結果である。ここもまた1人11**票の平等性という建前と理念を大きく毀損(きそん)する結果となった。国民の意図を超えた議席となる。我々はこの選挙制度のマジックを今ひとたび点検する必要があるのではないか。
     久々に志位和夫氏(日本共産党中央委員会議長)の望楼に登りたくなった。望楼とは私の言い方で、長いキャリアを持った政治家の高い視座からの政局展望をうかがう場の意である。高市右寄り政権を見るには左側からの眺望の方が開ける。選挙結果について、左翼的視点からのメリハリのある構造分析をお願いした…



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