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アーカイブ 特別参与・内海 善雄 LesEssais 2026/02/04
衆議院選では、共産党以外はどの党も、おおむね日本の立ち位置を日米安保機軸に据えている。これは、現状認識が2周遅れとなっている結果だと思う。第2次世界大戦後、世界情勢は二度の大きな変革があった。にもかかわらず、日本外交は、日米安保基軸、すなわち65年前の米ソ冷戦下で有効であった米国頼りの一本足で、中国と対峙しようとしているように見える。
敗戦後、朝鮮特需をきっかけに復興した日本経済は、米国市場に依存して奇跡的に大発展し、世界第二位の経済規模にまで達した。
すると、米国は、貿易摩擦や、為替政策、駐留米軍経費負担などあらゆる手法を駆使して、日本の弱体化を図った。日本はこれらの諸要求を飲み続け、その経済力は、世界第二位から中国・ドイツに次ぐ地位に落ち、本年はインドにも抜かれる見込みだ。
それでもなお米国市場に依存していなければ、経済が持続できないことも事実だが、しかし現在では中国経済に依存する割合が米国並みになり、米国が唯一の頼りというわけではなくなっている。
戦後の米ソ冷戦は、ソ連の崩壊により、米国一極体制に変化した。日米安保体制は、ソ連を潜在敵国としての体制であるが、ソ連の脅威が薄らいだので、本来は不要になるはずであった。
米国の一極体制は、しばらく続いたが、その後、中国の台頭で、米(およびEU)と中の二極体制に変化した。すると、日米安保機軸体制の主たる目標は、ソ連から中国に移った。
このような世界情勢の大きな変革のなかで、先人たちは、中国とも互恵関係を築き、戦後下の米国隷従体制から脱却することに努めてきた。
私は、中曽根内閣時代、上記米国との貿易摩擦交渉で、通信部門を担当した。日米安保の庇護者たる米国の姿はみじんもなく、米国の理不尽な要求に従わされる屈辱を経験し、日本が未だ事実上米国の占領下と同然である事実を知った。
太平洋戦争で日本が焦土となったことは誰でも知っているが、日本がなぜ大国アメリカに戦争を仕掛けなければならなかったか答えられる人は少ない。日米開戦の理由は、泥沼になった日中戦争の活路を見出すために南方進出を図った日本を阻止するため、米国が日本への石油輸出を停めたことが主因である。困った日本は戦争以外に解決方法を見いだせなかったのである。
そのような米国隷従から独立することが、日本におけるナショナリズムの自然の姿だと思うが、日本の右派は、どういう訳か、そのことには関心なく、もっぱら中国の脅威を標榜し、反中である。
戦後から高度成長期までは、敗戦国日本は、占領国米に隷属していれば、経済復興・発展できる国際情勢だった。また、安全保障面で米国に頼れば、それで済んだ。 しかし、今は、米の相対的な地位低下により、その道は破綻してきている。トランプ大統領の米国ファーストは、そのことを露骨に表現したまででのことである。
日米安保条約により米国が日本の守護神であると考えているとすれば、それは、幻想にすぎないと思う。敗戦国の米軍駐留経費負担割合を見ると、日本の置かれている状況は一目瞭然である。いわば、米軍は日本の傭兵に近いのである。なお台湾には駐留米軍が存在しないことも認識しておくべきである。
日本: 約74.5% 韓国: 約40% ドイツ: 約33% イタリア:約41% (AI Copilotのデータ)
国際情勢が、戦後下の米ソ冷戦体制から大きく変化している今日、米国一本たちでは、日本は既に成り立たなくなっていると思う。経済面では議論の余地がないが、安保面でも、中国は、脅威はあっても、ソ連に替わる仮想敵国ではないと思うし、もし仮想敵国だと捉えたら、日本は経済的に成り立たなくなる。
地政学的にも、人種的にも、文化的にも、経済的にも、より親和性があるのは、米国より中国だろう。
米軍の駐留してない台湾に、しかも、台湾を国として認めてない日本が、「中国が戦艦を使って武力の行使をおこなうと、存立危機事態(自衛隊派遣を示唆する)になりうる」といたずらに中国を刺激して、何の利益があるのか? もし口が滑ったのであれば、即座に撤回謝罪すべきである。
また、右派だと言われる高市氏は、米と闘った英霊に誠をささげ、一方では横須賀の米空母でトランプと肩を組んでVサインを出す、矛盾を感じないのだろうか?
日本外交の基本は、現時点では、米中、両者に配慮、未来においては、中国にシフトが、日本が長く存続しうる道だと思う。日本外交は、今日的な視野で現実的に行ってもらいたい。
トランプ大統領の出現により、現在では、急速にEU、カナダが米から離れ、米、中、EUの三極体制に変化してきている。また、プーチンとトランプの狂乱ぶりで、本日現在の国際社会は無法者に振り回され、混乱状態に陥っているが、しかし両者による混乱は、長くは続かないと思う。近未来的には、やはり米中の2極体制が基本だろう。
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