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アーカイブ 国際観光施設協会 コラム 2025/10/10 佐野 桃子
佐野桃子の観光インタビュー 公私機関連携コンサルタント Eamon O'Grady(エイモン・オグレディ)氏
Eamon O'Grady(エイモン・オグレディ)氏 略歴 公私機関連携コンサルタント 1978-1983 アイルランド空軍(航空機整備専門) 1983-2012 アン・ガルダ・シオチャナ(アイルランド警察)2012-2014 アマゾンヨーロッパ データセンター、 シニアセキュリティマネージャー 2014-2022 ULブランド保護、物理・情報セキュリティおよび偽造防止ディレクター 学歴 2001-2005 国立アイルランド大学(人材管理・労使関係学課程、優等学士) 2007-2009 ダブリン国立アイルランド大学(経営学修士) 2016 UL エグゼクティブリーダーシッププログラム、イェール大学経営大学院
佐野: お忙しいところインタビューを受けていただきありがとうございます。 夫がULの社外重役をしていた時期に、エイモンさんもULの一番大切な模造品防止部門のトップとして在任中でした。いろいろな会合でお見掛けして、一度詳しくお話をお聞きしたいと思っていました。 また、今回のアイルランド旅行では大変お世話になりました。エイモンさんがいなかったら、旅行は単なる、ゴルフと珍しい風物を楽しむだけだったと思います。アイルランドの歴史を踏まえて、知的好奇心が刺激され、感動が次々と沸き起こった、素晴らしい 9日間でした。ありがとうございました。
佐野: エイモンさんは、海外からアイルランドを訪れる人たちにとって、アイルランドの魅力は何だと考えていらっしゃいますか。
エイモン: 2つの大きな魅力があると思います。その第一は、アイルランド人の国民性です。古いアイルランド言語に、“Cead Mile Failte”という表現があるのですが、その意味は、10万回のウェルカムです。
佐野: あ!その名前の音楽ダンス・レストランにみんなで行きましたね!陽気なケルト音楽と、ステップダンス、そして、日本ではお目にかかれないような厚切りサーモンを堪能しました。
エイモン: その名前に良く気が付きましたね。10万回のウェルカムの恩恵を観光客の皆様は享受することが出来ると言っても大袈裟ではないと思います。私達、アイルランド人は、お喋りして会話することが大好きで、好奇心いっぱいでどんどん質問します。おせっかいとは違います。バスや列車の中、パブや、ホテルやレストランでも、天気やスポーツや最近のちょっとしたニュースについて、とても気軽に声をかけて、自分の意見をはっきり述べるのがアイルランド人の特徴です。 ただし、避けた方が良いテーマもあります。政治や宗教については触れないのが賢明です。 桃子さんは、アイルランドの近代史をご存じですか。
佐野: あまり詳しくはないのですが、アイルランドの東北部は今でもイギリス領土になっていること、1845年から4年間、ヨーロッパでジャガイモの疫病(フィトフトラ)が大流行し、アイルランドで大飢饉が起きたことも知りました。宗教も、アイルランドではカトリック信者が多く、イギリスでは英国聖公会が主流となっていることも理解しています。
いろ複雑に絡み合っているのです。ただ、桃子さんも、イギリス領土に入って、直ぐに通り越して、再度アイルランドに入国したのも気が付かなかったのではないですか。
佐野: 全く気が付きませんでした。パスポートコントロールも税関もなかったですね。
エイモン: そうなんです。なにもなくアイルランドとイギリス領の間を自由に行ったり来たりできるのです。でも、アイルランド島の中にイギリス領土があることについて、興奮して討論したり、必要以上に責め立てる人はいるので、この二つの話題は避けた方が絶対良いです。 もう一つのアイルランドの魅力は、何だと思いますか。
エイモン: その通り!深い自然とその美しい景色です。
スライゴー県 新石器時代の遺跡 クリーヴィキール・コート・トゥーム太陽が沈むときにその光を岩の門から見ることができる
佐野: 本当に素晴らしいと思いました。郊外や山奥にも、石造りの家が美しく佇み、それがなん とも美しい風景になっているの が、私にとっては印象的でした。
エイモン: アイルランドは大西洋に浮かぶ小さな島国ですが、ヨーロッパの西に位置し、気候 は暑くても 20 度、寒くても氷点下にはならず、温暖です。雨も多いので、深い森が出来ています。アイルランドの国のテーマの色は緑です。緑の深さの違いは 40 段階もあると言われています。また、農産物の豊かさ は、世界一と言われています。
佐野: その美味しい野菜がアイルランド料理を美味しくしているのですね。毎日、美味しい食事を楽しみました。特徴がありますね。
エイモン: 野菜は比較的穏やかな気候の賜物です。また海に囲まれており、魚介類はとても豊富です。牛肉や羊は自然の中に放牧されて、自然の草を生まれてから死ぬまでずっと食べているので、その餌になっている草により味が違ってそれぞれ美味しいと言われています。
佐野: 牛の肩の付け根の部分の肉をステーキにしたものが、素晴らしく美味しくて感激しました。Feather Blade Steak と メニューにありました。羽のように、軽くとろける脂質が肉に含まれているという意味だそうですね。日本の霜降りと同様の品質に関するこだわりが感じられますね。
エイモン: そうですね。( 笑)乳製品も世界一ですよ。何しろ放牧されている動物の乳をふんだんに使っていますから。
佐野: 確かに!チーズもクリームもバターも最高に美味しかったです。
エイモン: 黒ビールも。ウイスキーも3度蒸留されていて、美味しかったでしょ?アイリッシュコーヒーは飲まれましたか? ウイスキーとコーヒーとクリームに砂糖。
reland_map travel-zentach.jp
佐野: 残念ながら、アイリッシュコーヒーだけは経験しませんでした。また、アイルランドを訪ねる良い理由になりますね。
佐野: エイモンさんの高校時代からのご友人の家にウイスキーを飲みにお邪魔したのは、最高の経験でした。ウイスキーを何百本とコレクションしていらっしゃいましたね。素晴らしいご自宅でした。石造りで、でもとても新しい広々としたダイニングキッチンとウィスキーセラーが緑豊かな中庭で結ばれていました。
エイモン: 彼はもともともっと広い家を郊外に持っていたのですが、老後を考えて、交通のより便利な今の場所に小さい家を建てたのですよ。(笑)
佐野: エー!あれで小さいのですか。(笑) ところで、アイルランドにお気に入りのホテルとかリゾートがありますか。警察で働いていらしたときには出張が多かったのではないでしょうか。
エイモン: もちろん、良いホテルや施設はあちこちに点在していて、観光名所を訪ねるのに、足がかりになります。素晴らしいゴルフコースやスパを併設しているところも多いです。ただ、 1 か所に固執せず、特に、西部の海岸線を巡るような旅行を計画するのが良いと思います。自然が美しく、空気も澄んでいて、誰でも経験したいことを見つけることができます。何をしたいかをまず見極めて、そのために最適な宿泊施設を見つけるのが良いやり方だと思います。
佐野: 確かに!情報が充分ありますから。日本で観光する方もそうしている方が多いです。 ところで、エイモンさんはゴルフ大好き人間だと思いますが、他のスポーツもなさるとお聞きしていますが。
エイモン: ゴルフは二つのゴルフクラブのメンバーで、週 2・3 回プレイしています。スライゴーゴルフ倶楽部は1894年に創設され、西アイルランドのアマ選手権の会場になっているゴルフコースです。幸運にもここのメンバーになっています。リンクスで、景色も最高です。 ジムにも行っていますが、一番好きなスポーツはラグビーです。公認ラグビーチームのマネージャーをやっています。 2019 年には、光栄なことに、その年のワールドカップが日本で開催されたのですが、その直前の週に、オリンピック競技場で、日本の公認ラグビーチームと、アイルランド公認ラグビーの一員として、優勝をかけて戦いました。その思い出が、私のラグビー人生で、とても大切なものになっています。
佐野: すごかったのですね。スポーツで、ご自分をリフレッシュされているのですね。
エイモン: スポーツだけでなく、旅行も大好きで、それによって自分をリフレッシュさせています。今年になって、3回スコットランドに行ってきました。船で川下りをして、ブタペストからアムステルダムまで5か国を巡ってきました。 また、今度、シカゴでラグビーの国際試合があり、アイルランドチームがニュージーランドと戦うので、応援に行きます。シカゴで友人と会うのも楽しみです。UL 時代の友人がシカゴには沢山います。
佐野: 良いご旅行になりますように!今日はエイモンさんに元気をたくさんいただきました。また、この夏の、8泊9日のアイルランド旅行の素晴らしい締めくくりとなりました。今度はぜひ素敵な奥様と一緒に日本にいらしてください。ありがとうございました
インタビュー後記 エイモンさんは警察でもっとも難しい殺人事件やテロ関連事件に携わっていた時期が長かったそうで、どんなに心労があったかと推測したのですが、いつもニコニコしていらして、話し方も全く押しつけがましくなく、温厚そのもの。素晴らしいご人格に触れることができたのが、今回のインタビューの最高の喜びでした。奥様のオードリーさんは友人達と一緒に一年中 10 度前後の海水温度の大西洋で週に何回か水泳を楽しんでいらっしゃるそうです! 佐野桃子
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